『6坪でも豊かな空間 ―塔の家― 』

T&Wで意匠デザインを担当しております、チーフデザイナーの千北 正(チギタ タダシ)です。

今回紹介させて頂くのは、4年前に81歳で他界された、建築家 東 孝光 先生が設計された自邸兼事務所である『塔の家』です。東京・神宮前のキラー通りに建てたこの都市型住宅は、「狭小住宅」の先駆けとなった、先生の出世作です。 

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建築家 東孝光(あずま たかみつ、1933920日 ~2015618日)

1933年大阪生まれ。大阪大学工学部構築工学科を卒業後、郵政省建築部、‘60年に坂倉準三建築研究所入所(1966年 新宿西口広場の実施設計・監理で参画)を経て、1968年に独立。1985年大阪大学工学部環境工学科教授に就任。1995年「一連の都市住宅」で日本建築学会賞作品賞を受賞。大阪大学退官後19972003年、千葉工業大学工業デザイン学科教授。大阪大学名誉教授。2015年肺炎で死去(享年81)。先生のトレードマークの青シャツは、大変印象的で、今でも鮮明に思い出されます。

先生の主な著書には、『日本人の建築空間』(彰国社、1981年)、『都市住居の空間構成』(鹿島出版会、1986年)、『「塔の家」白書』(住まいの図書館出版局、1988年)、『都市・住宅論』(鹿島出版会、1998年)などがあります。


今回のブログ更新のきっかけとなったのは、昨年201811月の朝日新聞朝刊のリレーおぴにおん「ちっちゃな世界」に記載された、東孝光 先生の長女で、建築家の東 利恵さんの記事を読ませて頂いた事です。見出しは、6坪でも豊かな空間「塔の家」、と題されていました。
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建築家 東 利恵(1959年大阪生まれ. 1982 年 日本女子大学家政学部住居学科卒業. 1984 年 東京大学大学院修士課程修了. 1986 年 コーネル大学建築学部大学院修了. 現在 東 環境・建築研究所 代表取締役)

http://www.azuma-architects.com/

東 孝光 先生は普通の家として造ったそうですが、当時は「実験的な住まい」として高く評価を受け、「狭小住宅」の代表的建築として『塔の家』と呼ばれるようになりました。
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当時は、周囲に高い建物が少なく、塔のようだったのでしょう完成から40年以上が経つ建物でありながら 現在も見学者が後を絶たないほど、建築史上において多くの建築・建築家に影響を与えた建物の一つとして知られています。玄関を除けば、トイレも浴室も含め扉が一切なく、間仕切りもない。吹き抜けで開放的な空間設計が狭さを感じさせず、都心に住む醍醐味を満足させ、東孝光 先生の師である坂倉 準三 先生の師であった、ル・コルビュジエ(建築家 1887-1965)の主張する「新しい建築の5つの要点(ピロティ上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)(近代建築の五原則)を踏まえている、とも言えましょう。
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この『塔の家』は、各階が1層1室なので、視線は遮られています。その分、階段を上がる音や、階下からの話し声など、音が人の気配を伝える重要な役割を果たしていたそうです。

201895日にYouTubeに「塔の家」を東孝光 先生の長女で、建築家の東 利恵さんがナレーション(中国版で、映像下部のテロップの日本語訳に直訳誤字等がありますが、気にしないでください。)された動画が公開されていますのでご覧ください。
https://youtu.be/xasKnR95r4g 
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私自身も、50年数年以上も前の事になりますが、小学校低学年の頃に住んでいた、長崎県平戸市の父親の実家(自宅兼店舗併用工房)の事を思い出します。この実家の木造2階建の町家は、かつて置屋(おきや)として使われた所をリノベーションしたものでした。 当時、芸者さん送迎用の人力車が残されていたのを思い出します。狭い間口に対し奥行きが深く、通り庭(土間)を介し、坪庭(苔庭)へ張り出した縁側の下には、金魚が泳ぐ池が配されていました。通り庭(土間)の上部は吹き抜けになっており、最上部の天井には小さなトップライトがあった町屋でした。その祖父は京都で修業を積んだ、仏壇・仏具の制作をし、漆職人でした。
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通りに面する町家は主なる玄関もなく、表の商店(仏具店)入口から裏口へアクセスできる通り庭(土間)と、その上部の吹き抜けは、上下階を介して、早朝から祖父母や両親が土間を歩く音や、通り庭(土間)を介して、隣近所の来客との話し声や、使用人の作業等の音が、日常生活の「音の気配」が思い出されます。

             
都心の狭い敷地にどのように住まおうかと考えたとき、町屋が建てられるほど広い敷地ではありません。そこで建てたのは、『塔の家』と呼ばれるものでした。町屋の構成と違いますが、縦(上部)にながい形の住宅にしたのです。町屋の空間構成と同じです。全体を縦に起こし、動線となる通り庭(土間)の部分を階段室とすればよいのです。「平面図」としてではなく、「断面図」として読めば、このようになることが分かります。
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『塔の家』では、日本の伝統的都市住宅である町屋の空間構成を用いて、現代の、さらに悪化する都市条件に合わせて都市住宅をつくったのだと言えるでしょう。結果、この『塔の家』は、階段が視線を遮り、プライバシーを保っています。現在の住まいは、扉を閉めてしまうと、人の気配を感じません。この『塔の家』の良さは、小さいとか狭いとかと言う感覚とは異なるような気がします。空間とは小ささや狭さで豊かさを失うのではなく、「豊かな空間」であれば、2次元的な広さは意識しないのではないかと思うのです。その意味で、この『塔の家』を通して、豊かな空間とは何かをあらためて気づかされた次第です。


私共T&Wが扱う都心の狭小地、変形地に設計・施工する住宅も、「都心に住まう狭小住宅を豊かに住まう」をテーマに2次元の平面的間取りも大切ですが、3次元の縦割りを意識した断面の立体的プランづくりを大切に、設計・デザインに活かしてゆきたいと思っております。


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②「タイルのもつ魅力」を、建築家とデザイナーのセンスで魅せる注文住宅ならティーアンドダブリュー
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④狭小地にも地震にもツヨイ!夢の3階建て!ティーアンドダブリュー
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# by tandw | 2019-02-20 23:27 | 千北 正 | Trackback | Comments(0)

昭和懐古~絶滅危惧物~

平成の時代も、あと数カ月となりました。
昨年の世相を表す漢字は ” 災 ” でしたが、新しい時代の始まりは、
 ” 災い転じて福となす ” となってほしものです。

少し遅いですが、明けましておめでとうございます。
木村です。


街を歩くと、通りに面した建物はずいぶんとモダンで個性的な建物が多くなっています。   

しかし、少し奥に入るとまだまだ歴史を感じさせる家も点在しております。
流石にトタン屋根や板目張りの外観を呈した家は珍しくなっていますが、そんな光景に
出くわしますと、何かホッとするのは年齢を積み重ねたせいでしょうか。

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そんな中、とても懐かしいものに出会うことが出来ました。
”コンクリート製のゴミ箱”
                                           

そこには、まさに昭和という時代の、小さな充実した空間が存在しています。

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コンクリートの外観に木製のフタ、昭和中期には至る所で見かけたものです。
しかしながら、東京オリンピック開催(昭和39年)に合わせた美化運動により撤去され、
その役目はポリバケツへと引き渡されました。

今ではめっきりその数は少なくなっており、絶滅が危惧されております。

なにやら隠れるように申し訳なさそうに佇むその姿に出会ったとき、思わず
”よく生き残ったな”と肩(?)を叩きたくなるのは、私だけでしょうか。



かつて、乱獲や駆除によって絶滅してしまった ニホンオオカミやニホンカワウソと
同じように、時代により淘汰されるであろう ”昭和のコンクリート製ゴミ箱”
我が心の中のレッドデータブックの1ページとして、ファイリングしておきます。




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# by tandw | 2019-01-21 00:00 | kimura | Trackback | Comments(0)

点検と大掃除

こんにちは工務の関谷です。

今年も後数日となりました。
12月の忙しい中、皆さん大掃除をそろそろしようかと思ってる頃だと思います。
我が家では、12月に入り、週末少しずつ掃除を始めました。
 皆さんも、掃除はされると思いますが、結構盲点なのが、トイレタンクの中です。
今はタンクレスでタンクがないトイレが増えてきてますが、タンクのフタを
外したことありますか?タンクのフタは簡単に外せます。外してびっくり!って
なるかもしれません。以外に水垢やカビで汚れてる場合が多いいと思います。
我が家は年1回あけてみますが、真っ黒です…。
開けたら、柔らかいスポンジやブラシ等で掃除するといいです。
ホームセンターなどで売ってる重曹やクエン酸などを使うと汚れが落ちやすいです。
注意点はフタを開ける前に止水栓を閉めて水が出ないようにして外してください。
(後は各メーカーの取扱説明書を参考)
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 外廻りのマスって開けたことありますか?汚水桝とか雨水桝など、家の外周部に
あります。詰まって流れが悪かったり、においがひどかったりする場合があります。
年1回くらいは開けて確認するといいです。気になるようなことがあれば、マスに
直接バケツ一杯くらいの水を流して確認してみて、異常がなければ問題ないかと
思います。問題がありそうならご相談ください。
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 家や設備はメンテナンス次第で長持ちいたします。掃除と点検は大事ですので、
普段見ない場所など、大掃除のこの時期に確認してみてはいかがでしょうか。
 







# by tandw | 2018-12-16 09:14 | sekiya | Trackback | Comments(0)

拘り2

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施工事例

PDの吉田です。

今回は、こだわりを持って完成させて物件のご紹介です。

①外観のファザードはもちろん室内にいて光を十分に感じられるように、ガラスブロックの施工をさせて頂きました。
 外部からの視線は全く気にならないのが特徴で、少し見えていますが、キッチンの天板は水晶となっております。

②外構でアプローチに照明を入れましたが、その脇に隠れミッキーを入れさせて頂いております。お客様も大変喜んでおられました。
 奥様のアイデアです。夜間も綺麗に映っております。





# by tandw | 2018-11-13 19:41 | yoshida | Trackback | Comments(0)

少しの安心

 みなさんこんにちは工務の中西です。
 近頃は自然災害による被害も多く、規模も大型化していると感じています。地震・台風・竜巻・噴火など今の人類では事前に処置が出来ていない、予測や予防が困難な現象です。

 先日、埼玉県から自宅に感震ブレーカー(地震を感知すると自動的にブレーカーを落として電気を止める器具)の設置協力の依頼がありました。首都直下型地震発生時に災害拠点病院周辺で大規模な火災が発生すると救急救命が遅れる恐れがあるため、病院周辺の木造住宅を対象に無償で設置するというものでした。

 阪神・淡路大震災や東日本大震災では、火災発生の原因が電気関係で50%を超えているとの事です。特に停電から復旧した際に起きた電気火災(通電火災)での拡大被害は残念でなりません。私が担当させていただいた建物にも数件ではありますが、感震ブレーカーを設置させていただきました。品川区等では補助金の交付制度がありましたので、利用されたお客様もおられますが「少し安心できますね」とのことです。私も良かったと思いました。
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①技術に裏付けられたセンスある二世帯注文住宅ならティーアンドダブリュー
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# by tandw | 2018-10-27 23:01 | nakanishi | Trackback | Comments(0)

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